お久しぶりです。気づけば今年最初の投稿になってしまいました。
年始から少し立ち止まる時間があり、「モノづくり」の未来について思いを巡らせる日々が続いていました。
そんな中、みなさんにどうしてもお伝えしたいことがあり記事にすることにしました。
少し真面目で尖ったテーマになるかもしれませんが、私の独り言と思って、お付き合いいただければ嬉しいです。
目次
「安さ」の裏側に潜むもの
ネットを開けば、驚くほど安価なアウトドアギアが溢れています。例えば、ある素晴らしいストーブとそっくりな形をしたコピー品が、わずか数百円で売られていたりします。それを見て、「本家は高すぎる」「安く買えてラッキーだ」と考える人も少なくありません。
しかし、自らもモノづくりに携わる端くれとして、どうしても伝えたいことがあります。どうか、その裏側で何が切り捨てられているのか、少しだけ想像してみてほしいのです。
リスペクトから生まれる「螺旋の進化」
世の中のモノすべては、完全なゼロイチで生まれるわけではありません。過去の製品へのリスペクトからインスピレーションを得て、そこに新たな技術や独自の解釈(アップデート)を加えることで新しい製品は誕生します。私はこれをモノづくりにおける「螺旋(らせん)の進化」と呼んでします。
しかし、コピー品を作る業者は、こうした「ゼロから生み出す苦難のプロセス」や先人へのリスペクトを一切負担しません。完成された美しい形だけをスキャンし、安い材料で機械的に量産しているだけです。彼らが売っているのは「結果」だけであり、そこには何の哲学もなく、未来へ繋がる進化もありません。
美しいメッシュデザインに刻まれた、作り手の「鎧」
先日、私が心からリスペクトしているブランド、MUNIEQ(ミュニーク)の「X-MESH STOVE」という製品に新しいモデルが登場しました。極限まで引き算された、美しい極薄メッシュでデザインされた究極にULな五徳兼風防です。

限界まで薄く作られたステンレスシート。これ以上薄ければ熱で歪み、厚ければしなやかに丸まりません。最新モデルに引き継がれた絶妙な高さも、私が愛用する400FDや570FDの薄型クッカーに完璧にスタッキングさせるため、ミリ単位で再設計された執念の賜物です。コピー品には、その答えにたどり着くまでの膨大な失敗やフィールドテストの時間は宿っていません。

そして今回の新作には、微細なメッシュの開口率をコントロールすることで、炎を灯すと「MUNIEQ」のロゴが透けて浮かび上がるという高度な仕様が追加されていました。同じ作り手として、私はここに作者の静かなる抵抗と誇りを感じました。

安易なコピー品に市場を荒らされる中で、自分が生み出した文化を守るために、あえてその身にロゴを刻む決断をしたのではないか、と勝手に想像してしまうのです(まったく的はずれかもしれませんが 笑)。「緻密な加工の手間」と「商標」を、物理的な鎧として纏わせるために。
あなたの選択が、次の名作を生む(または殺す)
もちろん、それがコピー品だと知らずに購入されている方も多いと思います。ただ、そのレビュー欄で「安かったからこれで十分」という言葉を見るたび、胸が締め付けられます。(もちろん安いから悪い、祖枠品だというわけではありません。安くて良いものもたくさんあります。)
私たちが興味を掻き立てられるアウトドアギアは、単なる”モノ”ではありません。「もっと軽くしたい」「もっと美しく収納したい」という、誰かの熱狂と情熱の結晶です。
もし皆がコピー品や安価な商品ばかりを選ぶようになれば、才能あるクリエイターたちは疲弊し、新しいモノを生み出すことをやめてしまうでしょう。その結果、私たちがワクワクするような次の名作は、永遠に生まれなくなってしまいます。
これからの作り手に求められる覚悟
もちろん、この現状を前にして、買い手の皆様の選択にだけすがるつもりはありません。私たち作り手自身も、ただ良いモノを作って終わりという時代ではないのだと痛感しています。
これからの時代、作り手には何が求められるのか。
それは、
- 製品が完成するまでの物語を、いかにして使い手へ伝えるか
- 単なる形状ではなく、決して真似のできない技術を、いかにして制作過程に織り込むか
- 簡単に真似のできない無形のサービスや、共感してくれるファン(FAN)との熱量を、いかにしてそのプロダクトに吹き込むか
私たち自身がこうした問いに深く向き合い、実践していく覚悟が必要なのだと思います。
どうか、生み出した作者の「熱」と「物語」が宿る、本物を選んでください。
使い込むほどに手に馴染み、愛着が湧くのは、間違いなくその「熱」が宿っているからなのです。
ではまた|彡サッ
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